ローゼンの雑記帳

ローランにして薔薇の末裔にしてソウルメイト!の雑記!

「What do you live for?」(超短編)

What do you live for?

 

f:id:rosenstern:20181218175719j:image

 

 

「ねぇ、カイ。カイは何でも知ってるのよね!!

「もちろんだよ」

 

カイは何でも知っている、とミリーは思っている。

 

“何故飛行機は飛ぶの?”とミリーが聞けば、カイは答えてくれる。

 

それはとても難しくてミリーにはわからないけれど、

ミリーはカイの話を聞くのが好きだ。

 

 

「ミリーは何も知らないんだな。」

 

呆れるカイ。

 

カイは将来、国の知能となるように教え育てられているが

ミリーはそんなこと知らない。

 

 

ある日。

ミリーはふと、疑問に思った。 

 

「ねぇ、カイ。どうしてあの葉っぱは春は赤で秋は緑なの?」

 

「え

 

「普通は反対よね。ね、何故あのお花は桃色なのかしらカイ?」

 

珍しく固まっているカイ。

 

 

知らない」

 

目を丸くしたのはミリーだった。

 

「知らないの?カイが?」

 

 

カイは何でも知っている、とミリーは思っていた。

 

「だってそんなこと誰も教えてくれなかった。そうだ、そんなこと知る必要ないんだ。」

 

 

戦争に勝つ為、国を豊かにする為の知識しか、カイは持っていなかった。

 

「そんなこと、世界にとっては無意味なんだよ。」

 

それならとミリーは悲しそうに言った。

 

「あの葉っぱが赤から緑になるのも、あのお花が桃色なのも世界には意味がないのなら、私がお転婆で泣き虫なのも、パパが笑顔なのも、意味ないのね。」

 

何も答えられないカイにミリーは続けた。

 

「カイが優しいのも、私がカイを好きなのも、みんなみんな、意味ないのね

「違う違うよ!!

 

叫んだカイを見て、ミリーは首を傾げた。

 

「違うの?何故、カイが泣いているの?」

 

カイは生まれて初めて、知識と気持ちが矛盾することを知った。

 

 

「僕には、僕にとっては意味あるよ!!

 

 

よかった。」

 

必死に訴えるカイに、ミリーは本当に嬉しそうに微笑んだ。

 

 

きっと、僕よりもミリーの方が色々知っている、とカイは思った。

そして自分の生きる意味を知った気がした。

 

(僕は国の為に在るんじゃない)

 

これからはミリーの問いに全て答えられるようにしよう、と思った。

 

 

 

「ねぇ、カイ。何故あの花は

「それはね

 

 

I live for you.

 

 

Fin.