「L」③エピローグ、そして(短編)
②は↓
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さて、いかがでしたでしょうか。
“こんなもの本ではない?”
そうですね。これは彼の手記です。彼の叫びです。文学性はないのかもしれません。
しかし大変大きな問題を孕んでいるのは事実です。
“進化”、”進歩”その意義は果たして何であるのか、
今まで誰も口にすることのなかった疑問を唱えたのです。
愛する者を忘れてしまう悲しみとは如何程でしょうか。
何故、人類は進化を求めるのでしょうか。
これは、私の最大の疑問です。
ここ数百年で、文明は飛躍的な進化を遂げました。
文明の発展は、私たちの生活を豊かにしました。
様々なものが電子化され効率化されました。
交通の利便性はあがり、医療技術の発達により寿命は延びました。
しかし、その文明の発展は本当に人々に幸せをもたらしたのでしょうか。
その問いは、
科学技術によって人間が作り出した化学物質による環境破壊故であり、
戦闘機や爆弾による戦争の凄惨さ故です。
技術の発展なしには起こりえなかったことだからです。
これらのことにより私は、発展を批判しているのではありません。
ただもう一つ、発展によってもたらされた負の一面を、彼が得たものを。
それはまさに、“老いによる忘却”です。
私たちは、いずれ老いる。そして少しずつ、記憶を失っていく。
別に誰のせいでもない、自然の摂理です。
しかしそれは、本来そこまで生きることのなかったはずの人間が、
寿命を延ばすことに成功した結果、もたらされたものではないでしょうか。
何故、人類は進化を求めるのでしょうか。
それは、本能ですか。義務ですか。
その科学技術の発展は、何の為ですか。
身体能力の退化ですか、破壊ですか、支配ですか。
気まぐれに此処に訪れた、貴方はきっとその意味を考えるべきだと思うのです。
“新しいもの”を求めるということ。
確かにそこには空を翔けたいという純粋無垢な夢が、
工事の為に岩を崩すという大義名分が、あったかもしれない。
しかし後に、それらは戦いの道具となった。
そして、全ての人の幸福とも思われた医療技術の発達は、
彼に大きな哀しみを与えることとなった。
何故、現状にとどまることを良しとしないのですか。
何故、進化し続けなければならないのですか。
何故、ですか。
豊かさとは、幸せとは何ですか。
進化の理由は。
…何か、貴方の心に引っかかるものはあったでしょうか。
さて、ここでおまけの話をしたいと思います。
貴方にはまるで関係のない話かもしれませんが、
とても短いので然程お時間は要しません。
“L”の大切さを必死に語った少女のお話。
正義や倫理観には
必ず、矛盾が内包されている。
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