ローゼンの雑記帳

ローランにして薔薇の末裔にしてソウルメイト!の雑記!

「Ark」1〜5(短編)

Ark 1

 

箱庭の中は、幸せでした

私は、初めて愛し愛されるということを知りました

方舟の中は、幸せでした

どこまでも、どこまでも行けるような気がしていました

 

 

永遠さえ手に入れることができるような

 

けれどそれは錯覚でした

 

 

方舟が壊れてしまったのは

外圧のせいでしょうか?

 

それとも、私の

驕れる無能さ故でしょうか?

 

 

Ark 2

 

確かに僕は彼女を愛していた

永遠さえ願った

けれども、怖かったんだ

 

 

彼女が泣くのを見る度に怯えた

 

このままでは彼女を壊してしまう気がして

彼女を幸せにしてあげられない気がして

 

 

僕は、怖かったんだ

 

 

愛する人が 幸せになれないかもしれない、ということが。

 

 

Ark 3

 

 

想い出と言えば

 

冷たい言葉の雨

 

けれど、その中に紛れている

確かな愛

 

 

冷たい言葉に泣いたのは本当で

 

でも私は幸せだった

 

 

たまに届く愛の言葉

それだけで十分でした

 

それなのに。

 

 

「ねぇ何故変わってしまったの?

 あんなにも 愛し合っていたのに」

 

 

最期はせめて彼の為に笑顔でいてあげようと

泣き顔は嫌いだと言った彼のために

私は月光を受けて銀色に輝く

《Arkと呼ばれた物》を 手に握り

精一杯、笑ったのでした

 

 

Ark 4

 

初めてだったんだ。

こんなに本気で人を愛したのは。

 

僕は弱かったんだ。

 

僕では幸せにできないと思った。

それでも彼女には幸せになって欲しかった

 

僕の脆弱な心はついに耐えることができなかった

 

 

あの日、僕は嘘を吐いた

 

 

 

Ark5

 

 

 

「好きな人が出来たんだ」

 

あの日

彼はいつもより優しい調子でそう言いました。

 

それが、いつもの冷たい言葉とは違うんだと

私にはすぐにわかりました

 

いつから彼の心は離れていたのでしょうか

 

永遠を共に夢みた、

それは彼の確かな裏切りでした

 

 

 

原曲はこちら

Ark

Ark

  • provided courtesy of iTunes

 

 

 

 次はこちら

rosenstern.hatenablog.com