冷淡
久しぶりに歩いて帰るな
と思ってふと
数時間前がフラッシュバック
そう、歩いて帰るなんて最近は滅多にないから“歩いて帰る”というそのこと自体が思い出すきっかけ。
数時間前の光景
週直で日誌を書く私
前の日のを見て日付を確認
あ、今日って10月10日なんだ
最近意識してないから知らなかった
たったそれだけの思考
たった数秒の残像
電車を降りて横に広がる稲穂の金色。
そう、今日は10月10日であるということ
別に何があるわけでもない
ただ静かに
2年前に書いた詩の断片が
頭に浮かんだだけ。
どうしてあんなに成長するまで気付かなかったんだろう
毎日車で通ってたはずなのに。
いつの間に金色にたなびいてたんだろう
この前まで、真っ青だったのに。
帰り道一つ一つに思い出があった
私はそれをひとつ残らず思い出して感傷にひたることができるはずだった
時の早さを実感した私は
何故かそのいつもの行為をしなかった
そして気付いた
今の私は、想い出というそれ自体に
酷く冷淡なのだと