「L」①プロローグ(短編)
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ようこそいらっしゃいました。ご来館は初めてでしょうか。
当館は世界中の興味深い本ばかりを集めた、図書館です。
ただ、残念ながら貸し出しは行っておりません。
お気に召した本がありましたらどうぞ、あちらの椅子に座ってお読みください。
興味深い本、それはフィクションでありノンフィクションです。
どの本を開いても、誰かの人生を垣間見ることができるでしょう。
そうですね、某ベルンカステル卿をご存知ですか?
此処では、誰しもがそんな存在になれます。
或いは、某クロニカ様でしょうか。
どちらもご存知なくても構いません。それはさしたる問題ではありません。
さて、何故貴方は来館されたのでしょうか。本を読みたいから?
では何故、人は本を欲するのでしょうか。
ある事実を知る、また物語を垣間見ることによる思考を欲しているのでしょうか。
いや、ただの気まぐれ?
されど、その選択をしたのは他でもない貴方ですね?
その選択により貴方はこれから1冊の本に出会うことができます。
当館とっておきの1冊です。
読み終えた貴方は何を感じ、そしてその”気まぐれ”を後悔するでしょうか、
自分の選択は正しかったとするのでしょうか。
−−−−−−−それは、Moiraのみぞ知る−−−−−−−−−−。
さて、ギリシャ悲劇をご覧になったことがあるでしょうか。
話の全てを演劇として上演するには、ギリシャ神話は長大なものが多い為、
その一部を切り取って上演されます。
彼も、そうです、次に紹介する本の著者も、悩んだようです。
どこを切り取ろうか、と。どこから書き始めようか、と。
さて、“L”を求め、“L”を見つけたある人のお話です。
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